<技術資料>スキー潤滑における必要条件

摩擦力と文明の発展 古代壁画にも残る人類と摩擦力との戦い

中世以下? 進化できないスキー潤滑

ナノダイヤ・フラーレン・ナノシリカを配合し「ナノベアリング効果」を謳う市販品がスキーワックスほか自動車エンジンオイル添加剤などにも見受けられる。
実際はナノダイヤモンド・フラーレンのベアリンク効果では潤滑効果が出ていない。
市販品を見れば、これらは必ずナノ粒子にミクロ粒子であるフッ素・グラファィも共配合している。
これは不足している潤滑効果を補う必要があるから。
単なる潤滑材の増量効果では摩擦力から逃れることは出来ない

なぜスキー潤滑では今までベアリング(ころ)が機能しなかったか?
どうしたら高効率・長寿命というボールベアリング効果を引き出せるか?
この謎の解明には長い時間を費やした。得られた事実が以下である。

スキー潤滑における必要条件

ベアリング効果のためには「ころ」には以下の四条件が必要である

第一の条件「形状条件」 
第ニの条件「個数条件」
第三の条件「偏在条件」
第四の条件「環境条件」
ころは転がりやすい「球体」でなくてはならない
ころは摩擦面に多くの「個数」がなくてはならない
ころは摩擦面の全てに「偏在」しなくてはならない
ころに環境負荷や生体毒性があってはならない

この四条件を全て満たさない限り雪氷上でのスキー潤滑に適さない

不適例1

不適例2

雪氷上ベアリングを可能とする「ころ」とは

真実接触面=ミクロンサイズ
ミクロの面にミクロのころを配しても
集中する垂直力でころは脱落する

では真実接触面の1/1000サイズなら?
真実接触面内に無数に存在可能では?
莫大な個数効果で補填も不要では?


ナノテクノロジーが可能とした究極の「ころ」

雪氷上ベアリング効果の四条件を満たす理想のころを探求し続けついに究極体といえる 爆轟法ナノダイヤモンド一次単結晶粒子 に到達した

第一の条件「形状条件」

転がりやすい「球体」

 ハードコア・ソフトシェル構造

爆轟法ナノダイヤモンド一次単結晶の構造

第ニの条件「個数条件」

摩擦面に多くの「個数」

ナノ粒子の特徴=莫大な個数
単位重量あたりの粒子個数密度
12,600,000,000,000,000,000個/g

スキー滑走面(1.5×105 mm2/本)
の推定初期真実接触面は1.5 mm2
領域内に存在可な個数=151000個

第三の条件「偏在条件」

摩擦面全てに「偏在」

主スキーワックス基材で超分散達成


化学合成ワックス
パラフィンワックス

炭化水素系合成油
シリコーンオイル

第四の条件「環境条件」

環境負荷・生体毒性なし

ナノダイヤモンド単結晶の特徴
化学的に不活性で反応性を持たない。
鉱石であるので環境負荷もない。
生体各細胞に対して一切毒性がない。
がん治療にも利用される安全な物質。

ナノテクノロジーが不可能を可能に

究極の「ころ」 ダイヤモンドのナノ個数効果よって摩擦力の抑制に成功した

4nm 水溶性ダイヤモンドを疎水性ワックスに超分散させて融水層に接触させて放出させるとその莫大なナノ個数効果でミクロンサイズの真実接触面領域にも無数のダイヤモンドが転がりだす。しかし垂直力ではダイヤモンド単結晶は破壊不可能。
結果、真実接触面の凝着が阻害されて摩擦力が抑制される。

通常は真実接触面に集中する垂直力で雪氷融水層は破断し摩擦力が発生。